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ご注文はうさぎですか?展 Café Lumière 鑑賞レポート

 ご注文はうさぎですか?展 Café Lumièreに行ってきました。

 今回は10周年記念と銘打ったうえで原作側がメインとなって展示を行うということで、自分も告知のあった1月から非常に楽しみにしていました。え、1月……!?!!?

 時、早すぎ。

 

 自分は普段からこういった展示会に行くわけではないのでイラストの他にキャラクターのお部屋再現なんかがあると嬉しいなあ、とぼんやり考えていた程度なのですが、まさかラビットハウスの再現やラフの公開までもあるとは思っていませんでした。本当に、万感の思いです。

 さて、そんなごちうさ展を非常に充実した気持ちで鑑賞できたのでその感想なんかを書いていきたいと思います。

1. エントランス

 開幕から凄かったです。ご注文はうさぎですか?9巻メロンブックス特典のデッッッッッカイ絵が飾られていたわけですが、受付に並んだ瞬間からそれが見えてしまうので気が気ではありませんでした。このイラストは10人がラビットハウス制服を着てカフェへと招待しているような構図となっていますが、それをごちうさ展に入場したときに最初に目に入るイラストとして配置しようというアイデアが大好きです。

 

 入場して左手側を見てみると謎の見覚えのない描き下ろしイラストもデカデカと飾ってありました。ここの宇治松千夜さんが本当に好きです。小指を遊ばせながら耳に髪を上げる動作もメニュー表を体で支えるようにして抱えるポーズも前かがみになると同時に揺れる厚手のスカートもすべてが好き。一目惚れってこういうことなんだあ……と染み入ってしまいました。𝓢𝓾𝓹𝓮𝓻 𝓑𝓲𝓰 𝓛𝓸𝓿𝓮......

 

 更新後のプロフィール、ずっと見たかったやつなので嬉しすぎたんですが奈津恵さんの身長が予想以上に高校生してて立ち眩みするかと思いました。ココアさんのパジャマがぴったりになるのも頷けます。あとMEGUMIという表記をすごく久しぶりに見た気がしました。メグ呼びがかなり慣れているのでそういえば奈津恵さんってメグじゃなくて恵なんだよな……と時々思い出します。神沙夏明さんも例えば神沙映月さんからナツ / なっちゃん、のように呼ばれていた世界線があったかもしれないなと夢想してしまいますね。前者だったら条河麻耶さんがそのうち呼んでくれるかもしれない。他にもこの子の誕生日ってこの子の並び替えになっているのか!という発見だったりこの子の身長ってこの子と同じなの!?という驚きだったり、客観的には数字を見ているだけなのにそれがすごく楽しかったです。彼女たちの積み重ねてきた日々があるからこその感動でした。

 なんだかんだで一番びっくりしたのは神沙映月さんのプロフィールに15歳と書かれていたことかもしれません。神沙映月さんが15歳だという情報を得てしまった自分の脳に対して恐怖すら抱いていました。いやまあ高校1年生なので当然そうなんですけど、こう、急に湧いてきた実在感の"""""圧"""""がハチャメチャに大きすぎるので……。神沙夏明さんと同じ身長なのもなんか嬉しい。条河麻耶さんが5cmも身長差があるのを見るとちっちゃくてかわいいね……の気持ちがあふれてしまう。あとここの額縁がオシャレな上に絵のサイズが大きかったので神沙姉妹を飾ってある額を見て金持ちの家に飾ってありそうだな……って思いました。実際神沙パパは娘2人をイメージしたフレーバーを自社の新商品として出してるくらいには娘にめちゃ甘い(という事実に基づく推定がある)のでおうちに娘の写真を額に入れて飾ってたりするとかなりニコニコしちゃいますね。

 

 ローマ字表記がちょっと怪しいことになっていましたが、流石にチェックしているはずだろう……という点を踏まえるとそこだけココアさんが担当したとも考えられてまた面白いですね。「今日のためにたくさん準備したから、ぜひ楽しんでいってね!」というエントランスのボイスが胸に響くようです。いやどうだろう。でも青山さんのローマ字表記はかなりそれっぽいと思います。

 

 とにもかくにも、10mもなかったくらいだと記憶していますがこの場所だけで十分すぎるほどに楽しめました。これでまだエントランスという事実に慄きながら歩を進めていきます。

2. ラビットハウス

 ラビットハウス、ウェルカムボードにかわいくデフォルメされた5人が描かれていたのがすごく好きです。ラビットハウスの看板もしっかり付いていたのが嬉しいですね。ここからラビットハウスに入れるのか……!という期待が高まっていくのが自分でもわかりました。

 

 最初に目に飛び込んできたのはココアとチノの等身大フィギュアでした。これ凄すぎる。部屋全体が若干暗くしてある印象を受けたんですがその中でスポットライトに当たっていたので本当に映える。闇に舞い降りた天使なんですよね。修道院のマリア像みたいなもんですよ。Twitterでも徳井青空さんがめちゃ良接写画像を上げられていましたがこの衝撃は行って自分の目で見ないと分からない類だと思いました。

 そんで等身大フィギュアって等身大なんですよね。最初見たときはこのサイズで立体化されてるのデッカ!!!って驚いていたんですけど近付いてみると香風智乃さんちっっっっっちゃ!!!!!って驚きました。ものすごい体験。フィギュアそのものもクオリティが高いんですよね。パンフレットに詳細なインタビューが載っているんですが個人的には髪のさらふわ感が綺麗に立体化されていることにめちゃくちゃ感動しました。それと服のシワとスカートの折り目とたなびいている腰のリボンも好き。風が吹いたまま静止しているから頭がおかしくなるかと思った。

 

 あと小物もこだわっていたのが凄くよかったです。ラビットハウスの展示というよりも現実に存在する喫茶店のようにすら感じる雰囲気が作り上げられていたのが好き。バスケットに入ったティッピーパンとかめちゃめちゃ完成度が高い。食器と一緒にケーキスタンドが置かれていたのを見てつい4巻2話を連想してしまいました。カウンターに置かれていたメニューにただのシンプルなフォントでナポリタンと書かれていたんですが、なぜかこの文字を見ただけで天々座理世さんが調理している様子が脳裏に浮かんできて本当に感慨深くなりました。これでメニュー表にキャラクターのイラストとかが入っていたらそれはそれでかわいいんですが、多分こういう感情にはならなかったと思うんですよね。真摯にラビットハウスを再現しようとしてくれたからこその体験でした。

 

 せっかくなので撮影した写真をいくつか載せておきたいと思います。

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完成しすぎ。改めて見てみるとやはりブーツが本当にオシャレですね。


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5人のかわいいつむじをバシャバシャ撮っていたときの一枚。香風智乃さんはティッピーでガードしていたので見せてもらえませんでしたが……。上から見ても髪がたなびいているのが分かるので良い。


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これは他の人から聞いて初めて知ったんですが、テーブルの下から覗き込むようなアングルで写真を撮ると桐間紗路さんだけ絶対領域が見えるそうです。青山さんの視界を味わえるのは良いですね。フィギュアとテーブルの配置をそこまで考えてやっているとしたら本当にすごい。なんなんだその執念は。

 

3. ココアの部屋

 すごいピンクピンクしてます。かわいい。ちゃんと屋根の形まで再現されていたのが好きです。ドーナツとマカロンのクッションって置いてあったかな?と思いましたが、パンフレットには無いもののTVアニメ1期公式ガイドブックに小物として紹介されていました。確かにココアさんこういうクッション好きそうですね。マジックセットやWe are FamilYのマグカップも置いてあるのが嬉しいです。

 そしてココアさんはこの部屋に住んでるのか~~なんて思いながら左方向へと目を動かしていくとあるんですよね。ココアさんの制服が…………。これがごちうさ展の中で一番質感が飛びぬけてて過呼吸になるかと思いました。いや制服はココアさんがいつも着ているものなんですが本当にそのサイズが絶妙なんですよ。制服を見た瞬間に今まで断りなくココアさんのお部屋を舐め回すように観察していたことが申し訳なくなりました。「ココアさんの再現部屋」から「ココアさんが今は居ないだけでいつも住んでいる部屋」に認識が変わりましたね。横に姿見が置かれているのもあってココアさんがポーズをとっている姿が目に浮かぶようでした。

 

4. チノの部屋

 ココアさんの部屋から一転してこちらは落ち着いた雰囲気です。チェス盤やボトルシップはもちろんですが、一緒にあのマグカップが普段から使っていることを感じさせる様子で置かれてあって彼女の生活が想像できます。クールに見えるけれど部屋の小物から彼女の好きなものが分かるの、すごく良いですね。「チノの部屋ってチノって感じだなー」という台詞を思い出しました。

 見覚えのないポンデリングのクッションも置かれていてびっくりしましたがこれはアニメ等で出てきていたんでしょうか?記憶に自信がないのでわかりませんが……。ココアさんの部屋にあったドーナツのクッションのことを考えると、ココアさんがゲーセンなんかで沢山取ってきたクッションをチノさんにおすそ分けして初めは急に渡されて困っていたもののなんだかんだで愛用するようになった、みたいなバックグラウンドが想像できて楽しいですね。

 

5. イラスト展示コーナー

 イベントキービジュアルと表紙、BDイラスト、アニメ用作画資料、エイプリルフールイラスト、歴代扉絵と盛り沢山の内容でした。BDイラストでは完成絵の下にラフが飾られていたんですが、全然ラフじゃないのがおもしろかったです。傍にいた他のお客さんも「1番古いデータがこれしかなかったんだろう」みたいなことをもう一人の方と話されていて、やっぱりそういう認識で良いんだよね……と少し安心しました。

 

 アニメ用作画資料も印象深かったです。Koi先生がキャラクターらしい動きを伝えるために制作したという話でしたが、一つ一つの動きから彼女たちの考えていることが分かるようにラフの段階で練られていた、ということを知れたのが嬉しかったです。1羽のティッピーが「顎が伸びて目も下に引っ張られてます -> より引っ張られます -> 涙目」と書かれていたのがだいぶ好きでした。あと展示の中で一番ラフっぽい絵を見られたこともあって「ごちうさって本当に線の状態から描かれているんだ……」みたいな感動がありました。Dear My Sisterのネームも展示されていましたが、あれだけの量をKoi先生が用意されていたという事実にひたすらびっくりしていました。多くの人が言われていることですが、コミックスが中心にある!というわけではなくて、ごちうさという一つの世界を表現するために、静止画だからこそ、アニメだからこそ出来ることを追及しているのだと改めて実感します。ああ、嬉しい。

 

 エイプリルフールイラストは初期案が展示されていたのがかなり嬉しかったですね。自分はメモを取りながら見て回っていたんですが、それを見返すと魔法少女チノの初期案を見たときには腋出しすぎだよ~~~!!!!と困惑していたっぽいです。この初期案を前提にして考えると怪盗ラパンでは結局腋出したい欲を抑えきれずにマントで隠れるからいいやろ!とこのデザインにした背景もあったのかもしれません。

 クロラビ初期案もめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃかわいいですね。好きすぎ。お団子ショートカットの宇治松千夜さんを見たときは流石に一目惚れってこういうことなんだあ……と染み入ってしまいましたね。宇治松千夜さん、生徒会に入ってそう。というか周囲の人たちから尊敬を集める立場にいそうだなと思います。常に余裕がある。立ち姿が洗練されている。たまに和服とか着てほしい。それにココアさんの初期案もすごくかわいいですね。""後輩感のある先輩さ""がカンストしています。カラオケが好きそう。カラオケ店のバイトの女の子から一方的に顔を覚えられてそう。なおかつ並行世界でもココ千夜は大親友なので初期案であってもこの二人は大親友なんですよね。気が狂いそうです。あと5人とも制服のデザインがかなり違うのでまったく別の学校なのかもしれませんね。都会が舞台だからこそのパワープレイって感じがします。クロラビ、めちゃめちゃ好きだ……。

 

 歴代扉絵のコーナー、とにかく圧が凄かったです。最終日最終回にも1度行ったんですが、人の数が少なくなって視界全てが扉絵イラストで埋まる体験はかなり衝撃的でした。家にこの画廊が欲しい。

 

6. Koi先生の作画映像初公開

 凄すぎ。自分はイラストに全く詳しくないのでこの凄さを9割以上理解できていないと思いますが、それでも凄すぎました。木漏れ日を意識したイラストということでその点についても映像内で説明されていましたが、自分はイラストに全く詳しくないのでキャラクターに白色を落としたところで(えっせっかくめちゃめちゃ綺麗にキャラクターが描いてあるのにこの上に塗っちゃうの?)とハラハラしてしまって、それが数秒後には木漏れ日に当たるキャラクターとして完全に成立していたので本当に凄かったです。あと「複雑なことはしません。」という説明がされていてへえ~これって複雑なことではないのか~~と思っていたら「物を観察し、脳内でレイヤー分解し、イラストの際に出力、再構成する」と言われていたのでちょっとよく分からなくなりました。どういうこと?とにかく凄かったです。

 

7. 特別映像の上映

 最後の展示です。本当に良すぎました。エントランスでのキャラクター紹介、ラビットハウス等の立体展示、これまで描かれてきた数々のイラストを見てきてごちうさも10周年かあ……ここまで来れたんだなあ……と人生円満終了みたいなテンションでいたんですが、旅行編をメインとする映像が「これからのごちうさは積み重ねてきたものでもっと面白くなるぞ!」というメッセージの込められた構成になっていて本当に泣きそうになりました。8巻最終話の1コマからロイヤルキャッツに神沙姉妹が訪れる1コマに繋げるパート、本当に好きです。音楽もセカイがカフェになっちゃった!が流れていて、10周年程度で終わらせる気なんてさらさら無いことが伝わってきました。最高すぎます。そして自分はまだWe are FamilYマグカップを買えていません。事後通販さん、助けてください。

 

 

 と、やや長くなりましたがこんな感じです。ごちうさ展の会場を出て階段を降りるときの世界と調和がとれたような感覚が心の底から気持ちよかった。大阪開催も行きたいと思います。

希望、信じる心、天真爛漫、不公平【ポケモン剣盾感想】

オレともう一度勝負してくれないか!

すべてがはじまったこの場所……

……まどろみの森で!

 

 

 

ポケモン剣盾、最高!!!!!!!!!!(夏映画)

 皆さんはポケモンをプレイするとき、最も楽しみにしていることは何ですか?

 対戦はもちろん、新ポケモンや各BGM…といった要素もありますが、自分はその中でもシナリオを一番楽しんでいます。ま、小学生の頃からそうなんですけど……。

 今回のエンディング後シナリオをプレイし終えたのですが、「英雄の物語を示しながらそれに付随して紡がれるホップくんの再起と選択の物語」の構造があまりにも”””””良”””””すぎたのでこの感想を風化させないように記事を書くことにしました。九分九厘自分用です。

 

序:未来しかないな!

 この物語の役者たちを2種類に分けるとすれば、やはり「大人」と「子供」であるかと思います。ダンデやジムリーダーたち、ソニアといった「大人」は、ジムチャレンジャーである「子供」たちを見守り、支え、導こうとする。そうして育った子供たちは成長し、また次の世代へとバトンを渡していく。この両者が存在して初めて歴史は循環し紡がれていく……そのように感じられました。

 一方で、ローズ委員長らは「大人」ではありますが、今そこにいる子供たちへとバトンを渡すのではなく、より広範な未来へと目を向けていました。つまりは、大人と子供の両者で未来を作ろうとするのではなく、大人が一方的に先導しようとしていたわけです。この物語ではそれが行き過ぎてしまい、惨事を引き起こしました。最高齢の登場人物も言っていましたが、「年寄りを軽んじるのはもちろんよくないけどさ 年寄りがでしゃばっている世界もよくないからねえ」ということなのでしょう。多分ね。

 さて、おさらいはほどほどにしておき、ここでいう子供の視点から見たときに物語がどう映るかを考えます。

 ビートの場合。彼はローズ委員長に救われた、と語っていました。そして委員長の助けになりたいと考え、各地でねがいぼしを手段を問わず集めます。

 ホップの場合。彼はチャンピオンである兄に強い憧れを抱いています。それは兄の出ている試合をすべて見ており、頬を叩く仕草やボールを投げる動作すら似せるほどです。ジムチャレンジャーとなって、憧れの兄にようやく並び立てる…!そんな思いも胸中には多少ながらあったのではないでしょうか。しかしながら兄はやはり「大人」で、ナックルシティで騒ぎがあった時も「ここは任せて、自分のことをやるんだ」と言われます。

 2人に共通することですが、この世界の大人は子供にとって非常に頼もしく、だからこそ同時に「役に立ちたい / 自分も対等になりたい」という思いが生まれるのだと考えられます。それゆえに、主人公とホップが並び、最強無敗のチャンピオンすら膝をついた「伝説」へと立ち向かったあの戦いはある種の到達……「子供」が未来を切り拓くことの証明であると言えます。

いなくなった目標

  未来を示し最強無敗のチャンピオンにすら勝った主人公(以下ユウリと言います、なぜならぼくは女の子なので…)でしたが、対照的にホップはその変化に戸惑いを覚えていました。彼にとって兄ダンデは小さな頃から「最強無敵の象徴」であり、おそらくはそう在り続けるものでした。自身が対等なライバルだと思っていたユウリがその均衡を破るまでは。ホップからしてみれば、一日にして「目標」がいなくなり、「ライバル」が遠い存在となったのです。「子供」が成長し、世代が変わったがために、自分もまた変わらなければならないと考え、焦り、戸惑ったのです。

 「アニキに勝っちまうなんて本当にすごいぞ!……すごすぎてユウリのことよく分かんないんだ」…とまどろみの森で静かに語るホップは、ユウリと自身との距離を確かめようとしたのか勝負を挑みますが、逆に大きな差があることを突き付けられてしまいます。思い返せばユウリがチャンピオンとなる前もホップは自分の強さに悩み、手持ちのポケモンを何度か入れ替えていました。強くてごめんね……。悩むホップに追い打ちをかけるように、髪の毛でチャンバラしてそうな兄弟が突如として現れ、伝説の剣と盾を持ち去ろうとします。止めようとして勝負をしますが、ホップはまたも負けてしまいます。

 立ち去った兄弟の足取りを追うと、ジムスタジアムでダイマックスポケモンが暴れているとのこと。その鎮静の手伝いを頼まれたものの、負けが続いたホップは自信が無いように「役に立てるか分からない」「足手まといになるかも」と消極的でした。その場に居合わせたネズが「こういうとき君の兄なら迷わない」と言い、ホップは兄弟らによってダイマックスさせられたポケモンたちを助け始めます。

ズギャッと助けに行くっきゃないぞ!

  3つのジムスタジアムでダイマックスポケモンを止めたユウリたちは、ポケモン研究所で兄弟と相まみえます。ユウリとホップはダブルバトルで彼らに勝利しますが、兄弟の「研究所のねがいぼしを持っていく」という目的は水面下で達成されており、ソニアは落ち込む様子を見せます。が、しかし。「たしかに落ち込んだ!でもハイ!落ち込み終了!しょげてるヒマないでしょ!」と自らを奮い立たせるのです。この姿を見たホップは目を見開き、自身の決意を言葉にします。

「ユウリ!のんびりしてられないぞ!ポケモンたちをズギャッと助けに行くっきゃないぞ!」

 ユウリ、ホップ、ネズたちは各地のジムスタジアムで強引にダイマックスさせられたポケモンたちを改めて助けに行きます。ここから、ホップの再起の物語が動き出したのだと考えます。彼の物語が始まるきっかけはいつだってポケモンへの優しさが理由でした。まどろみの森へ迷い込んでしまったウールーを助けたいと思い、伝説との出会いを果たしたあの時のように。

 かつてのジムチャレンジと同じように各地を巡りますが、「子供」として導かれていた以前とは違うものがあります。今はポケモンたちを助けるためにジムリーダーたちと並び、協力しており、そこには庇護対象へ向けるまなざしというよりは、共に戦うに値するほどの成長への信頼が見て取れました。キルクスタウンのジムリーダー、マクワも「ユウリさんはもちろんですが ホップさんもなかなか頼もしいトレーナーですよね」と語りかけています。周囲の変化に対する焦りを感じていたホップは、周囲の変わらぬ温かさによって誰かの役に立てるのだと自覚し、自分の夢を見据え始めます。

終:「ライバル」

 英雄を含めたポケモンたちを助けた彼らは、まどろみの森に戻ってきました。伝説の英雄に認められたホップは、再びユウリへと勝負を挑みます。その顔つきには「自分も何かにならなければ」という焦りの色はありません。すべてが始まったこの場所で、ガラルを巡る一歩を踏み出したあの時と同じように、新たな道へと進む決意が感じられます。

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 余談ですが、このバトルのホップは頰を叩く仕草が無く、ボールを投げる動作も以前と別のものになっています。つまり、以前のように憧れの兄のモノマネではなく、自分の行き先を自分で決断したことを表していると思えます。こういう何気ない部分からホップが変化したのだということが語られているようで、本当にキャラクターに真摯に向き合っているのだと感じさせます。

 勝負を終えて、ホップは自身の夢を語ります。世界中のポケモンを助けられるポケモン博士になりたい。ユウリやアニキとは違う道を進むけど、これからもライバルでいてほしい。周囲が変化する中で何を目指せばいいのかわからず、ただただ焦燥感に急かされていた彼は、周囲に支えられて自分だけの目指す道を選択しました。

 ホップとユウリが話していると、いつのまにかダンデたちもやってきていました。彼らのポケモン勝負も見ていたようです。ダンデはホップへと語りかけます。

「ホップ!自分の進むべき道を見つけたんだな オマエのアニキとして……いや オマエのライバルとして応援してるぜ!」

 この言葉をもってして、ホップは憧れの存在であった兄ダンデと真に並ぶことになったと考えます。「子供」だった彼は成長し、次の世代へとバトンを渡す存在へと進み始めました。

 

 この記事の題とした「希望、信じる心、天真爛漫、不公平」というのはホップの花言葉です。最後の「不公平」は、ビールの原料に用いられるホップが雌花のみであり、雄花は不必要なものとされていることが由来だそうです。ここまでを振り返ると、周囲との差に悩みながらも選択を下した彼を表す物語性が強く感じられます。

 さて、なんかいい感じにまとまったのでこのへんで締めたいと思います。最後に、もしここまでお付き合いしてくださった方がいましたら、夢に向かって走り続けるホップに負けないよう、自分も強くなりたいという決意から一言。

 

 

 

 

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